9月場所大関貴景勝優勝
9月場所千秋楽において4人の11勝4敗同士の優勝争いは、本割で2人が敗戦し
残るは大関貴景勝と入門僅か18場所の前頭15枚目熱海富士の優勝決定戦となった。
貴景勝はケガにより先場所は休場しカド番の大関である。
それでもひざの痛みに耐え凌ぎながら、4敗しながらもこの舞台へ上ってきた。
熱海富士は幕尻から対戦相手も上位の力士に比べ優位に勝ち星を重ね
この舞台に上がってきた。
優勝決定戦になれば観客のボルテージも上がる。今場所の最高位である大関となれば
一方的な強さで観客を魅了しなければならない。
その通りなのだが、いざ決定戦の立ち合いでは、ガツンと当たりもせずに一瞬の
はたきこみで勝利し、その後は観客からはブーイングの嵐だった。
観客は金払って白熱した取組を見に来ているので勝ち方に不満を持つのも仕方ないが、
親方衆が勝ち方に文句をつけるのはボクはおかしいと思う。
勝って番付を上げ高い給金をもらう勝負師には勝つのが本文であり、
力相撲だろうが注文相撲だろうが勝ちは勝ちである。
この対戦では熱海富士の土俵上の所作が相手の目も見ず、下ばっかり見つめており
いかにも思い切り突っ込んでいくぞというポーズが見え見えで、貴景勝の勝ち方に
文句を言った現役時業師と言われた舞の海も確信できただろう。
あれははたかれて当然だったとしか言いようがないし、これも経験と
はたかれた力士は土俵に上がった時から勝負は始まっているものと思い、
勝ち続けるための経験と捉えるしかないだろう。
相撲協会に言いたいのだが、そもそもケガを押して出場させ、勝ち方に不満を申す
のは間違っており力士の体調管理をもっと重大に考えるべきと思う。
ケガを押しやっとの思いで勝ち越して来場所も同じようでは見る方も面白くない。
きっちりケガを治して出てきた方が、白熱した取り組みを期待できるだろうし
素質ある力士を短期間ですぐに負傷する力士にしてしまう原因になる。
そもそも年6場所はケガを治すには時間がなさすぎるし、先場所の疲れや
痛めた部分をケアするのにも時が無さすぎる。
今回の優勝で大関貴景勝は来場所に横綱昇進をかけるが、それにも11勝では
横綱昇進をかけるには相応しくないと文句をつける親方衆もいる。
その声を払しょくするように『優勝した事実が大事』と言い切った横綱審議会
山内委員長にはボクは敬意を称する。
岡田 純