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五香のつぶやき

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懐かしきかなインドの狂った虎

小学生の頃ブームだったのでしょう、テレビでプロレス中継をよく見てました。

特にひいきのレスラーがいた訳ではありませんが、各々のレスラーが
繰り出す必殺技などのパフォーマンスで場内を沸かせるのを見て
熱くなっておりました。

特に外国人選手の悪役がとてつもなく残虐なのが印象深く、古いところでは
噛みつき魔 ブラッシー 鉄の爪アイアンクローのフリッツ・フォン・エリック 
鋼鉄の頭 ココバットのボボ・ブラジルなど

これらの悪役がリングに上がれば流血戦は必至 昔は全日本プロレスで
タッグを組んでいたジャイアント馬場とアントニオ猪木が血みどろになり
苦悶に満ちた顔がぼんやりと記憶として残っております。

中学生あたりになると悪役としてインドの狂虎 タイガー・ジェット・シン
が日本のプロレス界へ現れました。

アントニオ猪木は師匠である馬場と袂を分かち新団体の新日本プロレスで
シンと熱戦を繰り広げていきます。

シンはインドの民族風スタイルで頭にターバンを巻き、サーベルを持って
所かまわず振り回します。

場外乱闘は得意中の得意で本当の場外 伊勢丹新宿店で当時猪木の細君で
あった倍賞美津子さんと買い物をしているところをサーベルで襲っています。

常識外れの本当の狂った虎なのです。

でもマットを降りた時の真の姿は紳士であり実業家でもあるのですが、
振り上げたサーベルの先っちょは使わず持ち手の方で叩くので実をいうと
常識人ではあるのです。

シンの真の実力はUSプロレス仕込みで、この場内の観客を巻き込む
パフォーマンスに惑わされるとやられてしまいます。

敵なしの猪木も負けたことがあったと思います。

そしてこの度、タイガー・ジェット・シンが春の受勲受賞者 旭日双光賞の
受賞が発表されました。

今まで日本プロレス界で悪役として暴れてまくっていたシンが叙勲受章者なの 
なぜ ? ? ?と思うでしょう。

プロレス界を去ってからカナダで慈善団体を運営しており、東日本大震災の時には
福島の家を失った児童たちに義援金を送ったりもしたのです。

日本における真っ当なコンプライアンスと凝り固まった常識に支配された世の中に
ヒール役に徹し無茶苦茶で非常識なパフォーマンスでファンを恐怖に陥れ、
興行を盛り上げた いちレスラーが堅苦しい受勲を受けるというアンバランスさで
ほほえましく楽しい気分にさせてもらいました。

 岡田 純