震災から10年経ちました
『星影のワルツ』東日本大震災の時に起きた実話をもとに作られたドラマを
見て夫役の遠藤憲一さんと妻役の菊池桃子ちゃんの演技に引き込まれ
一緒に恐怖と家族を失う悲しみを体感しました。
津波の警報が鳴り響く中、夫婦は種もみを高所へ片付け、2階へ避難用の荷物を
取りに行く。
早く逃げようと言う妻に大丈夫と高を括る夫 妻の言うことを聞いていれば
妻は助かったかも 生き残った夫はその慙愧の念を背負い続けなければならない。
どういうことか津波に打ち壊された自宅の白いトタン屋根の上で福島沖を
漂流することとなる。
自宅のトタン屋根に白いペンキを塗る夫に向かって、小さいころの娘が
体操服のようだと言って笑った。
些細なことだがこれも津波に奪われてしまった大切な家族の思い出である。
トタン屋根の上で、のどの渇きに2階で妻がポケットに突っ込んだ栄養ドリンクを
妻に感謝しながら一滴も残さず飲み干す夫。
海上から原発の爆発を絶望を抱きながら眺める夫、寒さから海面に浮かぶ布団を
体に巻き付け暖を取る これは妻からの生き続けてほしいというメッセージだ。
夫は漂流3日後30キロ沖に流され海上自衛隊の船に助けられた。
海に流されながらも生きていたことが奇跡である。
夫はこの奇跡は自分にではなく妻を生き伸ばせてくれればよかったと思う。
妻役の菊池桃子ちゃんの朗らかな回想シーンが悲しみを募らせる。
妻の葬儀のシーンで喪主である夫の最後の挨拶は身につまされるものでした。
津波は大切なものをすべて奪った。そして妻との思い出はささやかなもので、
何でもない毎日が、自分にはかけがえのないものだったことに気づかされた。
妻に生かされその妻に感謝し、これから一日一日を大切にしたいと
津波は何の罪もない家族を不幸にしてしまった、畑仕事をし生計を立て、
子供を育て何の変哲もない暮らしをしている家族が、悲しみに暮れる毎日を
送っていた現実を今になって顧みる。
大それた自然災害だけでなく身近な火事や事故なども一瞬にして大切な家族や
思い出の詰まった家を失くすこともあることにも置き換えられると思う。
東日本大震災のもたらせた災害はこれからも生きていく人々に教訓として
10年後も20年後もその先々にも風化させてはならないものである。
岡田 純